日本人にとってなじみの深い「貝」
縄文時代や弥生時代から貝を食べる文化があり、日本各地で「貝塚」が発見されています。
身近だけど、知っているようで知らない「貝」。そんな「貝」って何種類あるか知ってますか?
調べると「こんなに!」と驚くことばかりでした。
そこでこの記事では「貝」の種類にスポットを当てて、明日話せるトリビアを交えながら話を進めていきます。
「貝の種類」は何種類いてるの?
貝類は日本だけで11,600種、世界では84,000種いるといわれています。
魚は世界で約36,000種いるといわれているので、貝類の種類の多さに驚かされますね。
貝類は「軟体動物門に属する動物」と定義され、生物分類学上、8種類に分けられます。
- 溝腹綱(こうふくこう)
- 多板綱(たばんこう)
- 尾腔綱(びこうこう)
- 単板綱(たんばんこう)
- 掘足綱(くっそくこう)
- 頭足綱(とうそくこう)
- 二枚貝綱(にまいがいこう)
- 腹足綱(ふくそくこう)
(「綱」は単位を表します)
ここでは、世界で84,000種いる貝類の、約96%を占める代表的な2種類の貝について見ていきましょう。
「腹足綱(ふくそくこう)」
巻貝の種類で、「サザエ」や「アワビ」もこのグループに入ります。 世界で約72,000種類、日本で約9,000種類生息しています。
世界最大の巻貝は「アラフラオオニシ」という貝です。オーストラリア北部とインドネシアの間のアラフラ海に生息しています。
世界記録では、長さ(殻高)が77.2cmの大きさのものが発見されています。
「二枚貝綱(にまいがいこう)」
その名の通り二枚貝の種類で「アサリ」や「ハマグリ」「ホタテ」などがあげられます。
世界で約9,000種類、日本で約1,600種類生息しています。
世界最大の二枚貝はオオシャコガイで、貝の長さが137cm以上、殻の重さは230㎏に達するそう。
「たこ」や「イカ」が貝の種類?
「たこ」や「イカ」には貝殻がないため、一見すると別の生き物のようです。
ですが、「たこ」や「イカ」は「頭足綱(とうそくこう)」に分類される、立派な貝の種類です。
貝類は貝殻がある・なしではなく、「軟体動物門に属する動物」と定義しているので、「たこ」や「イカ」が「貝の種類」だということも納得できますね。
進化の過程で貝殻は無くなってしまいましたが、その名残を見ることもできます。
例えば、「ヤリイカ」の外套膜(筒の部分)の中には「軟甲」と呼ばれるプラスチックの板のようなものがあります。これが貝殻の名残です。
「カタツムリ」は貝の種類?
「カタツムリ」は巻貝と同じ「腹足綱」に分類される貝の種類です。
実は「カタツムリ」という名前は生物学上存在せず、陸に住む巻貝の総称として、「カタツムリ」と呼ばれています。
「カタツムリ」は陸で進化したため、肺呼吸をします。また、殻の中には胃、肝臓、肺などの重要な臓器があるため、殻が大きく壊れたり、取ったりすると死んでしまいます。
「貝殻のない」貝の種類
先ほどのたこやイカのように、貝殻が無くても、貝の種類と定義される生き物がいます。
ナメクジ
「カタツムリ」と合わせて陸貝と呼ばれ、同じ腹足綱に分類されます。進化の過程で、殻を持ち続けたのが「カタツムリ」、殻が退化したものが「ナメクジ」となりました。
クリオネ
冷たい海域に生息し「海の天使」とも呼ばれる「クリオネ」。泳ぐ姿が愛らしいと人気がありますが、「クリオネ」も腹足綱に属します。つまり、巻貝の種類です。
生まれたばかりの時は殻のようなものがありますが、成長するにつれて無くなります。
身体が透き通っているという特徴がありますが、これは体内にたんぱく質をため込んでいるためだそう。たんぱく質は、純度が高いと透明度が増します。冷たい海で生きるための、大切なエネルギー源ということですね。
ウミウシ
色鮮やかな姿で、「海の宝石」とも呼ばれる「ウミウシ」。約5,000種類ほどあり、色も青や赤、緑、ピンクなどさまざまです。
こちらも腹足綱で巻貝の種類です。生まれた時は薄い殻がありますが、成長とともに無くなります。
なぜ「ウミウシ」の身体はあのようにカラフルなのでしょう。諸説ありますが、自身に毒があることの警告や、擬態するためなどと言われています。
きれいな姿に手を伸ばしたくなりますが、毒を持っている可能性があるため、素手では触らないよう注意しましょう。
世界一長く生きた貝
貝の平均寿命は、種類によって異なりますが、数年から数十年と言われています。
そんな中、アイスランドを含む北大西洋地域に生息する「アイスランドガイ」で、507年生きたと推定されるものが発見されました。
「アイスランドガイ」はその地域で日常的に食べられている二枚貝です。もともと長生きする種類のようですが、それほど長く生きていたとは驚きですね。
貝の年齢は、貝殻の表面にある年輪を調べれば分かります。樹木と同じように年に1本ずつ増えていきます。507年も生きていると、数えるのも大変そうですね。
お金の役割をした貝
貝は、かつてお金として使われていました。「貝貨」と言い、「タカラガイ」という種類の貝が、取引で用いられていました。紀元前の中国で始まり、東南アジア、アフリカなど広範囲に渡り流通していたようです。
なぜ貝が使われたのか。それは「軽くて持ち運びしやすい」や「偽造が難しい」、「価値があるものとして広く知られている」などの理由がありました。
貝が貨幣として定着していたため、お金に関する漢字には「貝」を使ったものが多くあります。「財」「貯」「貨」「買」「販」「貿」「資」などがあげられます。
貝生まれの宝石-真珠の種類
真珠は日本に古くからある美しい宝石です。
「アコヤ貝」から採れる、白い円形のものがよく知られています。
まず、真珠がどのようにできるのかを見ていきましょう。
①貝の中に異物が入る
②貝が自分の身を守ろうと、外套膜で異物を覆う
③外套膜が細胞分裂をして袋状になり、真珠を生成する真珠袋をつくる
④その中でカルシウムの結晶とタンパク質が交互に蓄積され、真珠層ができる
このような過程で作られる真珠は、成分はほぼ貝殻と同じです。
アコヤ貝以外でも、真珠は作られています。有名なものには「黒蝶貝」から採れる「黒真珠」、「ピンク貝」から採れる「コンクパール」と呼ばれるピンク色をした真珠があります。
また、先ほど挙げた過程を踏めれば、意外な貝からも真珠ができる可能性があります。
「ホタテ貝」や「牡蠣」「アワビ」などです。しかしこれらの貝から真珠が作られるのは非常に珍しく、養殖もされていないため、希少価値が高いものになっています。もし偶然発見することができたら、とても運が良かったことになりますね。
いかがだったでしょうか。
貝はとても奥が深い生き物ですね。これからも新しい発見があるかも知れません。
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